日本人にとって印象的なのは「ファイトクラブ」(1999年)という映画のテーマ曲でしょうか?オルタナティブロックの全盛期である90年代に洋楽を聴いていた人なら一度は名前を聞いたことはあるでしょう。
Nine Inch Nailsとは
“オルタナティブロック”界の中でも陰鬱な世界観の楽曲が多いで有名です。これは、バンドの絶対的リーダーであるトレント・レズナーの人生観の影響を強く受けています。
特に90年代のトレント・レズナーはアルコールやドラッグ中毒、痩せ型の不健康そうな見た目から、死が常に隣り合わせかのような危険な風貌でした。この頃の楽曲は、自身とは何かを暗いバックボーンから綴った内省的な楽曲が多いです。その代表アルバムが次に紹介する狂作「The Fragile」です。
世紀末に放たれた狂作「The Fragile」(1999年)
特に彼らの代表作となるアルバム「The Downward Spiral」(1994年)と並んで、絶望感や焦燥感が漂う重苦しい空気が漂っているアルバムです。ギターから生み出される意図的なノイズとエキセントリックな旋律が特徴的です。メロディーがキャッチーな方向へ向かうことなく、靄にかかったような深海をひたすら沈んでいく情景が浮かびます。
「The Day The World Went Away」(1999年)
アルバムの中で最も気に入っている曲です。終始メロディに付き纏う「ぼわーーん」とした不協和音が印象的です。世紀末の世界の終焉が囁かれた時代で、終わってもいいのでは、というメッセージを感じます。人生に対して悲観している時に、ネガティブになれる曲です。
暗い楽曲が多いNine Inch Nailsですが、2000年を超えたあたりから突如、肉体を鍛え始め健康な見た目へと変貌します。2001年の9.11テロ事件の衝撃や2003年にイラク戦争が勃発し始め、アメリカでは「内省的なことは言ってられねえ!社会を見ろ」という風潮が強まったのではと考察されています。オルタナティブロックは2001年で死にました。