ヴィジュアル系の始祖「X」

90年代に盛り上がるヴィジュアル系の歴史を語る上で、最も外せないバンドである。Xの凄さは「ハードロックとクラシックを融合した音楽性」と「奇抜なヴィジュアル」のパイオニアとして、日本の音楽界へ切り込んでいったこと、後進へ与えた影響力のデカさだと思う。

Xの偉大さを支えたのが、やはり独特な個性と唯一無二の能力を持った天才たちである。関東近辺で活動していた「X」のYOSHIKI、「SAVER TIGER」のHIDE、「DEMENTIA」のTAIJIなど各方面の天才が合流したのがXである。メンバー変遷もあるが、ここでは1991年当時のメンバーを紹介していく。

クラシカルなセンスを持つ絶対的リーダー・YOSHIKI
幼馴染のハイトーンボーカル・TOSHI
技巧派ギター職人・PATA
常に時代の先を行くカリスマ・HIDE
そして…日本最強格の天才ベーシスト・TAIJI

罪深いほどセクシーでロックなベーシスト「TAIJI」

1991年をもってXを脱退することになるカリスマベーシスト。演奏技術はXのメンバーの中では頭ひとつ抜けており、日本国内でもTAIJIに匹敵するベーシストはそうはいない天才だった。加えて、セクシーでミステリアスな見た目と破天荒な性格から今でもTAIJIに想いを馳せるロックファンは多数である。少々走り屋のYOSHIKIのドラムを支えていたのは間違いなくTAIJIのベースだったと思う。

「ベースって正直地味だし」「音が鳴っているのかわからない」とか思っていた小学生の頃に、「ベーシストってかっこいい!」と考えを改めるきっかけとなった一人。TAIJIのベースを聴いて、ロックのベース音がはっきりと聴こえるようになったというか、ベース音に注目して聴くようになった。
レッチリのFleaと並び、私が憧れているベーシストだ。

TAIJIのベースの何が凄いかというと、演奏技術やアレンジ力など万能型であったこと。指弾き・ピック弾き・タッピング・スラップ…一曲の中でも複数の奏法を使ったりで会場を盛り上げる。幼少期に中指の第一関節より上を失うハンデを持ちながらも、多岐にわたる奏法を使いこなせるTAIJIは紛れもなく努力の天才である。
ボーカルのメロディに対して、被せるように裏メロを入れつつ、低音を出すというカウンターメロディ技術が印象的である。裏メロの作り方も抜群にセンスがあったのは、元ギタリストだった影響もあるだろう。

アルバム「Jealousy」(1991年)

「Jealousy」ではYOSHIKI以外のメンバーが作曲している曲が多い。「楽器隊のメンバー4人が作った曲をTOSHIが歌う」というテーマのため、殺気の「動」と切ない「静」の調和に加えて、メンバーの個性もより強く表れているアルバムである。そんな「Jealousy」の中で特に好んで聴いているTAIJI・HIDE・YOSHIKIそれぞれが作曲した三曲を紹介する。

おすすめ曲1「Voiceless Screaming」

TAIJIが作曲したどこか切ない一曲。クラシカルな弦楽器からなるアルペジオが音色の美しさを作り上げている。ライブだとTAIJIもアコースティックギターを演奏しているが、実はギターの腕も超一流で、HIDEにギターを教えていたという話もある。

おすすめ曲2「Miscast」

HIDE作曲のロック調の曲。HIDEらしい疾走感のあるポップで過激な仕立てとなっている。弦楽器隊が超ノリノリで弾いているし、この楽曲をステージで披露できたら、脳汁がドバーッと湧いてきそう。改めてライブ映像を見返したけどクソかっこいい。

おすすめ曲3「Silent Jealousy」

Xの中でトップクラスに好きな曲。楽曲途中(2:55〜)のTAIJIのベースソロ → PATAのギターソロ → YOSHIKIのピアノソロとドラム → HIDEのギターソロの流れが何度聴いても飽きない。