Alternative Rock
ロックとは、劣等感に寄り添ってくれる音楽だ。ロックを愛す人間は、自身に対して、劣等感を抱いた過去を持っている。それでも理想の自分に近づくために、現実とのギャップを埋める作業が必要なのだ。そのためには、先天的な才能の壁、努力の壁、環境の壁、運命の壁・・・など様々な障壁が発生するだろう。ロックとはそういった壁を感じて、無惨な現実を認識しようとも、せめて自分を飾る表面的な仮面だけでも自身が望む理想であろうとする。ロックによって、自分自身が信仰する「神」に近づいた気持ちにさせてくれる。
90年代のhideやMarilyn Mansonなどのロックバンドが謳う終末思想の世界観は僕を狂わせた。決して綺麗事は言わず、自分の傷がボロボロになったとしても、「自分ではない別の人格」黒い翼を授けてくれる力が彼らの楽曲にはある。いついかなる時も、正しい自分であろうとすることって重要?たまには羽目を外して、黒い翼を求めてみたくなる。「何か辛いことがあったとしても、私は黒い翼に手を染めれるからな」という設定で、この混沌とした現代を生きる。そうやって精神を病まないためには、必ず自分自身の拠り所と逃げ道を見つけておくことにした。それが僕にとってはロックである。
ロックバンドに興味を抱いた理由は、各パートが自分の役割を果たす職人である「スタンドアローンの集合体」であることだ。そんな中、当時よく聴いていたRed Hot Chili PeppersやL’Arc-en-Ciel、Xなどのベーシストの存在感が強いと言われているロックバンドの演奏をよく聞いていた。そして、低音ベースの魅力に取り憑かれた。「ベーシストとして前に出たいから」というわけではない。むしろ、ボーカリストとギタリストがフロントへ出て格好いいソロを魅せる中、淡々とドラマーとリズムを合わせながら、ベースを奏でているベーシストの姿に一目ぼれした。そして、何とも自分に似合う楽器だなと感じベースに惹かれていった。
多くのベーシストが、グルーヴ感や音の生み出し方に徹底的に探求している(例えばエフェクターやプリアンプ、D.I.への拘り、アクティブベースvsパッシブベースなど)プロフェッショナルさを持っている。僕自身もその集団の一翼を担える存在でありたい。