気づいてしまいました。

実は………..好きなアルバムのジャケットには共通点がありまして、その共通点を含んでいるジャケットは無条件で好き認定してしまいます。例えば、RADIOHEAD「OK Computer」(1997年) のジャケットです。

未来志向でより自然的でリラックスしたジャケットです。クールなカラースキームで人工的な都市の冷たさを表現しています。このセンスがいいね!と思うあなたは私と感性が近いかもしれません。

1980年代頃から、サイバーパンク的な作品は存在しています。例えば、漫画 攻殻機動隊 (1989年)漫画 AKIRA (1982年)が例に挙げられます。しかし、どれもぶっ飛んだサイバーコア作品になっています。「ぶっ飛んだ」というのは、当時は経済的に豊かな時代だったので、現実から乖離した世界観であることを意味しています。「この勢いが続けば未来はものすごいことになるぞ〜!」という社会の延長線上に位置している作品という意味です。

しかし、1990年代に入ると、経済成長は低調気味になります。コンピュータの一般家庭への普及とWindows95の発売で、サイバーコアの根幹でもあるインターネットがより身近な物になります。サイバーコアが身近にはなったのですが、同時に現実も見えてきたのです。そのため1990年代頃から、よりミニマリズムで現実的なサイバーコアが受け入れられるようになったのではないかと考察しています。

この自然的でミニマリズムな未来志向こそ「Gen X Soft Club」という美学です。RADIOHEAD「OK Computer」は1997年頃の作品なので、落ち着いた現実的なサイバーコアが主流となった時代の作品なのです。

「Gen X Soft Club」を実現するには

じゃあその美学を再現するには、どういう編集技法が使われているのかをまとめました。
色々あるらしいです。

  • LEMO効果
    • 四隅の周辺光量が落として高コントラストを生む技法
  • ブリーチバイパス
    • 銀色を残してわざとくすませた画像に仕立てることで無機質な雰囲気を生み出す技法
  • モーションブラー
    • 動きあるものを撮影した時に生じる”ボケ”や”ブレ”を出すことで高速な何かを表現できる技法

「Gen X Soft Club」を採用していそうな作品

「Xbox CM」 (2001年)

LEMO効果は取り上げているテーマに影がある設定の場合、非常に有効的で、Gen X Soft Clubの表現技法との親和性が高いです。全体的に暗いカラースキームと不気味な映像のせいで、現代ではクレーム増加で放送禁止扱いにされそうです。

「任天堂ゲームキューブ CM1」(2002年)

ゲームキューブのハードウェア本体をガラス張りの立方体空間に見立てているCMです。無機質なガジェットに模した物体が日常に溶け込む様を表現しています。全体的に燻んだ青みがかかったカラースキームが特徴的です。

「任天堂ゲームキューブ CM2」(2002年)

人体と病院?が醸し出す白くて無機質な空間で、血液や内臓の赤みのある有機質な物体がさらに際立ち、有機物の異様さを連想させます。最後に水が滴るシーンでは、水の落下スピードの高速性を表現すべく、モーションブラー技法を活用しています。