グランジロックの先駆者「Nirvana」
世界で最も有名なアルバムジャケットの作品「水中を泳ぐ赤ん坊」を一度は見たことがあるのではないだろうか。と言うわけで今回はアメリカが誇る最強のロックバンド「Nirvana」を特集する。
アメリカ・シアトル出身のオルタナティブロックバンド。オルタナと言っても広すぎる…!
さらに、限定的な言い方をすると、グランジロックの代表格。グランジロックとは、シアトル近郊など、アメリカ西海岸を中心に盛り上がったロックの一種である。グランジロックの音楽性は「暗い歌詞」「歪んだギター」「パンクっぽいビート」「ハードロックのリフ主体の荒々しいサウンド」の融合が特徴的である。
わかりやすく例えるなら….アメリカ版氷河期世代達が、アンダーグラウンドでタバコとドラッグを吹かしながら、世の中に絶望した暗いロックをやる、みたいなイメージ。アンダーグラウンドでやっていた音楽を一気にメジャーシーンへ押し上げたのがNirvanaである。
早世のカリスマ「Kurt Cobain」
上記で挙げた人物像はまさにKurt Cobainそのものである。Nirvanaの絶対的フロントマンを通り越して、世界の音楽史でも確実に名を残す世界的ロックスター。本人はそう思われたくないかもしれないが、事実として彼はロックスターである。
彼の人生はドラッグと鬱、死と隣り合わせで、むしろ「生きていることに違和感を感じる」ほど危なげのある男である。彼が体験した社会的な疎外感を歌った歌詞と退廃的な空気の割に、ポップな音楽性であることから、煌びやかな商業ロックに飽きつつあった全世界のロックファン達の人気に火をつけた。
しかし、この大ヒットがKurt Cobainを苦しませる原因となる。メジャー市場というメディアや商業からの格好の的にされている現状がKurt Cobainの美学に反していたのだ。結果、薬物使用と精神病などの要因が複合的に重なり、最終的には27歳で自殺を選択してしまう。
1994年、27歳で人生に幕を閉じたKurt Cobain。Kurt Cobainがカリスマなのは27年間名を残すレベルのイカれた人生を送ったからであって、早くあの世へ逝ったからではない。尾崎豊もそうだけど、夭逝したロックスターって本当は純粋で真面目な男なのではないかと思える節もある。
実は私も27歳までには、何か一つ伝説を残さねばならない、という気持ちで今を生きている。が、何も残せていない。Kurt Cobainに憧れているけど、Kurt Cobainにはなれないし、仮になれたからと言って幸せになるとか限らない。ただ何も残せずまもなく27歳を迎えることになる。(迎えました。2024/12)
Album「Nevermind」(1991)
そんなNirvanaが生み出した絶頂期のアルバム「Nevermind」 。まさにグランジロックの金字塔。本作品がNirvanaを世界の大舞台へと押しあげた。個人的には次アルバムの「In Utero」(1993年) の方が好きだけど、こちらは別の機会で紹介したい。
流石に「Smells Like Teen Spirit」は聴いたことがある方が多い、と思う。どこへ行っても流れている超名曲「Smells Like Teen Spirit」。この楽曲が世界のロック、いや音楽を変えたと言っても過言ではない。これまでアングラで密かに奏でていた音楽が、氷河期世代(アメリカでは”Gen X”と呼ばれる)の若者から共感され、革命を起こすようにメジャーシーンに出てきて潮流を変えた。
PickUp.1「Breed」(1991)
Nirvanaの楽曲で最初に好きになった「Breed」 という楽曲。1991年のライブの様子ですが、カメラマンさん最高の仕事をありがとう。ドラムのDavid Grohlも優秀なドラマーで、後にFoo Fightersという世界的なロックバンドのボーカル・ギターとして活躍することになる。冒頭の徐々に強くなっていくスネア連打は、ドラムを始めて初期の頃に基礎練習すっ飛ばして密かに練習していました。
PickUp.2「Endless, Nameless」 (1991)
中盤〜終盤のギターの凶暴なノイズとKurt Cobainの叫びが最大の特徴である。ギターの音には無限大の可能性があると言われているが、こんなクレイジーな音出せるのかよ、最初に聴いた時に衝撃を覚えた。怒り、葛藤、コンプレックスを吐き出すために表現するための音を、あらゆる手段を使って、ギターから出し切ってる感じがする。最後これだけ大暴れするだけして、大作「Nevermind」を締めくくっている。
そんな最大のヒットアルバムに続けて出した次作が衝撃的だった…。