Nirvanaの1993年
1993年、Nirvanaの絶対的フロントマンKurt Cobainは悩んでいた。
恵まれた容姿も金も名誉も美人な女も手にした彼が、自◯を仄めかすほどに悩んでいた。
彼が悩む理由…それは、彼自身の理念と現実のギャップである。全ての音楽家が売れたいわけではない。メジャーシーンへ浮き上がり、世間の眩しい光に晒されたKurt Cobainには、その光は眩しすぎた。再び深海へ潜ろうとするも、彼は後戻りができない場所へ来てしまった、と悟ったのではないだろうか。
アルバム「In Uetro」(1993年)
リスナーに深海へ潜る、と意思表示を示したのが本作「In Uetro」である。商業的には絶頂期となった前作「Nevermind」(1991年) と比べてコア層向けとなっており、前作よりより荒々しく、より低音を意識したヘヴィな仕上がりとなっている。まるで前作「Nevermind」に対するアンチテーゼを目指すかのような作品である。私はKurt Cobainが存命している間のNirvanaのアルバムを全て聴いたが、やはり「In Uetro」が個人的に最高傑作である。
おすすめ曲1「Frances Farmer Will Have Her Revenge On Seattle」
SNSでの誹謗中傷や芸能界での圧力などで精神を病む人が多い現代にこそ注目されてほしい。
Frances Farmer (1913〜1970) という女優の生涯について歌った楽曲。
才色兼備のFarmerは、芸能界での人権無視な扱いに、精神を病んでしまう。そして、アルコールに依存していき、堕ちた果ては精神病棟でロクでもない扱いを受ける。Kurt Cobainは自身の現状を彼女の生涯に投影していたのだと思う。
真面目で繊細な人間ほど、心を傷めやすい。にもかかわらず、「官僚主義的で一人の心を壊す社会」や「多数で一人を痛めつける連中」は「クソったれだ!」とKurt Cobainは嘆いているんだと思う。
おすすめ曲2「Pennyroyal Tea」
歌詞とかみていると、Kurt がこの時期苦しみでもがいていたんだなとわかる楽曲。
「体調悪くて俺は薬がないとだめ」みたいなことを言っているが、私もインフルエンザや胃腸炎になった時とかこの曲を聴いて脱力感を感じていた。
おすすめ曲3「Radio Friendly Unit Shifter」
間奏のギターノイズが最高か…と思いきやこのまま最後まで行くんかい!と個人的にツッコみたくなる楽曲。
次曲の荒々しくてカオスな「Tourette’s」のイントロがノイズなので良い繋ぎになっていてセットで聴いている。というか…「In Uetro」というアルバム自体、真剣に耳をすませていくより、なんとなく歩きながらで聴くくらいの方がノったりするから音楽ってやっぱり勢いだなと感じる。