世紀末に現れたロックの革命児「Dragon Ash」
日本にミクスチャーロックを持ち込んで、一般層へ最も浸透させたバンドといえば、間違いなくDragon Ash。90年代からヴィジュアル系で群雄割拠となっていたロックの戦況を一変させた、と言っても過言ではない。それまでの音楽を古いものと大衆に断定させるほどの、新しい風を日本に吹き込んだ。
絶対的なカリスマ・KJ(降谷建志)の醸し出すオーラは、一体どこからくるものなんだろう?思春期で渋谷のトップランカーとして渡り歩いてきた経験値や同調圧力が蔓延った社会に対して物申すことができる芯の強さが、若者のカリスマとして支持された理由だと思う。
Album「Viva la revolution」(1999)
ミクスチャーロックの旗を掲げてきたDragon Ashの「Viva la revolution」というアルバムが日本の音楽界で革命を起こした作品。当時の平成不況という暗い時代だろうが、前に進むしかないよねというメッセージを伝えている前向きな二曲を紹介する。少子高齢化などで暗い未来が続くと予測されている今の日本の若い世代にも理解はされると思う。
PickUp.1「Viva la revolution」(1999)
「はるか遠くの地では残酷な
日々が続くのにこんな僕達
ちっぽけな壁を目の前に
立ちすくんでるような」
アルバム「Viva la revolution = 革命万歳」を冠する壮大なタイトルの本曲は、政治革命とか世界を変えろと言っているわけではない。現実で溢れるようなちっぽけな壁を乗り越えて、一つ壁の外に出ようという日本で生きるどのリスナーの心にも響く歌詞である。インターネットがそれほど普及していない時代、今よりも視野が狭くなりがちな若者へ向けたエールでもある。
PickUp.2「Let yourself go, Let myself go」(1999)
「駆け抜けろ時代を 未来へと進め 空気を吸って
振りほどけ恐れを 大地を踏みしめ歩き出そう」
アメリカでムーブメントを起こしていたミクスチャーの軸はブレずに、日本で親しまれたAメロ・Bメロ・サビの構成に寄せているところが、日本にミクスチャーロックの風穴を開けた要因だと思う。日本で聴かれてこなかったオルタナティブな音楽が、突如ヒットチャートの上位に食い込んでくる衝撃を与えた曲。